片足のない骸

盆踊り

（どうしようあんまり遅くなるとお母ちゃんに叱られる。）
敦子は意を決して
「すいませんお豆腐二丁下さい！」と大きな声で叫んだ。
店主はチラッと敦子を見て「なんじゃ、奥さんと話している途中に割り込んでちょっと待っとき」と言ってまた馴染み客と話し始めた。
敦子は泣きそうな声で「じゃって、あんまり遅くなるとお母ちゃんが怒るんじゃ！」と言った。
店主は面倒くさそうにこちらへ近付いて来ると、盥の中に入った豆腐を切って渡した。「ほら、全くうるさい子じゃね～そんなに騒がんでもちゃんとあげるのに」と言うと、金額を言って手を敦子の前に出した。