在りし日の記憶

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 光はその大きな工員が恐くて質問に答えられずにいた。 「ん?言葉をなくしちまったか?歌を忘れたカナリヤでなくて言葉をなくしたカナリヤか?ははは」大きな工員はからかい半分に笑いながら言うのだが、 光はますます恐くて何も言えないでいた。そのうち店の奥から店主の敦子が現れた。 「光ちゃんと店番していた?」敦子は年の頃60代半ばの少しふっくらした体型であった。 光は敦子に聞かれると首を縦に三回振った。 それを見ていた 大きな工員は笑いながら「はははこの坊主は言葉を忘れたカナリヤさとても敦子さんみたいに愛想良く接客できないよ!」と言った。
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