孤独

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山々に囲まれ、四季折々に様々な顔を見せる北の大地。 まだ冬の香りの残る季節。   フモト 山の麓から4~5kmの所に、ここらでは比較的に大きな町が在った。 そこから少し離れた、丁度山の麓に当たる場所に、小さな村が在った。そこに、一人の少年がいた。 少年は孤独だった。親の愛を知らずに育ち、     スガ 頼る者も縋る者も無く、暗く閉ざされた心には深い暗闇が広がっていた。 まだ幼いその表情は暗く、虚ろな瞳は悲しみに沈んでいた。 歳の頃7~8歳くらいだろうか。よく見ると体中には無数の アザ 痣や傷跡があった。  少年には両親がいたが、母親は少年が生まれてすぐ離婚してしまい、その後数年は父と二人で暮らしていた。 しかし、その父も母と離れてから僅か3年後に不慮の事故で、まだ幼かった少年を残して他界してしまい、拠り所を失った少年は父の叔父と叔母の元に引き取られる事になった。  元々両親とはあまり仲が良く無かった上、子供があまり好きでは無かった為、叔父叔母からの少年への風当たりは厳しく、少年にとっては、お世辞にも幸せな生活とは言え無かった。 特に叔父からは度々虐待を受けていた。当然抗う術も、何故自分がこんな目に合わなければも分から無かった少年は、ただただ必死に耐えるしか無かった。 叔父からの虐待は、少年が泣けば泣く程エスカレートしていった。 『うるさい!』 『泣くな!』 ワメク 『喚くな!』 と怒鳴り散らす叔父に、それを見て見ぬふりをする叔母。 次第に少年は抵抗する事をやめ、いつしか涙を流す事さえ忘れてしまっていった。 その頃から少年の顔から笑顔は消え、     シカバネ 心はまるで屍の様に暗く深い暗闇の中に沈んでいった。
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