2039人が本棚に入れています
本棚に追加
病院の診断では頭部の衝撃による記憶喪失と言う事だった。
意識が戻って2ヶ月間、病院に入院していた。
その間に、自分の名前や婚約者の名前や写真を見せられるが、千秋は分からなかった。
病院を退院して2ヶ月経過した頃から、断片的ではあるが記憶が少し戻って来る。
でも、事故の事に関しては記憶は戻らなかった。
居眠り運転のトラックが、突っ込んで来たのが事故の原因と聞かされたが、千秋には何故か絵空事のように思えた。
車は1回転して大破して、両親は即死だったが、千秋は奇跡的に助かった。
千秋は、退院後2ヶ月してから、姉と一緒に国分寺駅から歩いて10分の賃貸マンションを借りた。
事故から3年経過したのに、千秋は事故の事も婚約者の顔も未だに思いだせない。
……と言うか婚約者に会っても、本当に?
……千秋にとっては違和感があった。
心の底で、こんな人が、あたしの婚約者である筈がない。
と、否定するあたしが居た。
最初のコメントを投稿しよう!