記憶障害

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病院の診断では頭部の衝撃による記憶喪失と言う事だった。 意識が戻って2ヶ月間、病院に入院していた。 その間に、自分の名前や婚約者の名前や写真を見せられるが、千秋は分からなかった。 病院を退院して2ヶ月経過した頃から、断片的ではあるが記憶が少し戻って来る。 でも、事故の事に関しては記憶は戻らなかった。 居眠り運転のトラックが、突っ込んで来たのが事故の原因と聞かされたが、千秋には何故か絵空事のように思えた。 車は1回転して大破して、両親は即死だったが、千秋は奇跡的に助かった。 千秋は、退院後2ヶ月してから、姉と一緒に国分寺駅から歩いて10分の賃貸マンションを借りた。 事故から3年経過したのに、千秋は事故の事も婚約者の顔も未だに思いだせない。 ……と言うか婚約者に会っても、本当に? ……千秋にとっては違和感があった。 心の底で、こんな人が、あたしの婚約者である筈がない。 と、否定するあたしが居た。
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