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しかしまあ、こんなにも冷静でいられる自分に驚きだ。
一回予想が外れた事が緊張を和らげる結果になったのかね?
ぜひ心理学に精通してる人がいたら、俺にテレパシーでも送ってくれ。難しい言葉を理解できないから、わかりやすくな。
「そうだったっ。設楽君をここに呼んだ理由はね」
そこまで言われて、冷静だと思っていた俺の心臓は、より鼓動は激しくなる。
だってそうだろ? さっき考えていた妄想が現実になりそうなのだ。そりゃ興奮するさ。
しかし、鳥谷は鞄の中に入ってある物を取り出し、俺に向ける。
「これ。設楽君のでしょ」
「……は?」
それをおもいっきり見覚えのある物を受け取り、それを開いて確認。
美容院と行きつけゲーム点のスタンプカード、以前行ってた整形外科の診察券――
そして、『TRINHITY 宇佐美圭』と打ってあるテレビ局の入局許可所。
「ああ、紛れも無く俺の財布だな」
「だよねっ」
「…………」
「ん、どしたのっ?」
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