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「……これぃ、なんでぇ持っとるんじゃい!」
「おーっ。なんか歌舞伎みたいだねっ」
フリーズ状態から脱出した俺は、普段使わないイントネーションで声を張り上げる。
つーか、歌舞伎じゃないだろ。あってもそこは昔のおやっさんだろ。
「そんな事はどうでもいい。なんでこれ持ってたんだ!?」
見つかった喜びはさておき、俺の秘密がばれたかどうか探るのが、今の俺の最重要課題だろう。
さあ、冷静になるのだ設楽圭一。全身のアドレナリンをどっかに押し退けて、青い血液を脳に送り込むのだ。
「昨日、設楽君が落としてったの」
「そ、そうか。いや~、助かった。ありがとう」
ぬかった!
気を取り直そう。ここの質問が1番重要である。
素直に『財布見た?』では秘密があるとでも言ってるようなもの!
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