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「私ね。幼い頃からモデルやってるの」
「モデル? モデルってなんか腰をクネクネした変な歩き方をするやつか?」
「それもたまにやるけど、ほとんどは写真撮影」
そんなもんなのか。そっちの世界には精通してないから、よくは知らない。
「だから、教室ではああいう性格なの。結構好かれるから……」
「好かれる性格かよ」
鳥谷の横を通り過ぎて、フェンスによりかかながら言う。
「嫌われる可能性は低いでしょ? 今時ぶりっ子は時代遅れだし」
……まあ確かに、嫌う奴は少ないだろうが。
鳥谷は笑みを浮かべるが、それは所詮空虚の笑み。すぐに散る。
「だから……こんな二重人格みたいになっちゃった」
すぐに散って、またもや無表情。
ここで、何かを……何かを、言うべきなのだと思う。
だが、何も口には出てこない。脳にも何も思い浮かばない。
俺がここで気の利いたセリフを出すためには、いろいろなステータスが足りなかった。
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