5341人が本棚に入れています
本棚に追加
/339ページ
「……そうか」
「うん」
だから……そういう、ありきたりな、返事しかできない。
そしてまた、もと通りの沈黙。
サッカー部のパスを要求する声や、野球部の『ノーコン』とからかう声が寂しく響き渡るだけ。
「…………」
「…………」
俺と同じように校庭の風景を見ている鳥谷の横顔を見て、やっぱり悲しそうな顔に耐え切れなくて、
「なんでそれ、俺に話したんだ」
……余計な事を口に出す悪循環。
「…………なんでだろうね」
自分を本当に腹立たしく思う。
苦しんでたところに、ようやく同じ境遇っぽい奴が現れたのだ。そりゃあ相談したくもなる。
それを理解せず……傷口を広げるような質問しやがって……
「…………」
悔しさか怒りか、そんなネガティブな感情で拳を握りしめてると――
♪~♪
沈黙をやぶって、この場には合わないケータイの着信音が鳴り響く。
最初のコメントを投稿しよう!