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メールの贈り主は社長だった。
『財布見つかった? 忙しいから見つかったら連絡して』
見つかったと返信した後、待ち受けで見た時計は1時を指している。
リハーサルの集合時間には、もう行かなければ間に合わない。
……悪い事は、続くものだ。
「……ごめん鳥谷。もう行かねぇと」
「あ。今日はそういえば初の歌披露だね。絶対見るよっ」
「見なくていい、じゃあまた明日な」
「明日は学校ないよっ」
どっかの幼なじみと同じ間違いをしながら、俺達は笑って別れる。
けど、俺の心の中では何ともいえないモヤモヤ感がが残っていて、
その感情は鞄を取りに教室に行っても、目的地に向かう電車に乗っても、消えはしなかった。
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「遅いぞ、宇佐美!」
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