ギャップ

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……母はよだれたらたら。姉は唇を噛み締めて。二人はそれぞれの表情をしながら、それぞれの皿を見つめていた。 …………計画通り。 どっかの自称新世界の神顔負けのニヤケ顔で、俺は安心して風呂に入っていった。 烏の行水とでもいえる速さで風呂を上がり、俺はリビングにニコニコしながら入った。 「…………」 が、ない。 飯が、ない。 俺が食っていた痕跡さえ、テーブルに残されていない。 「……なん、で?」 俺の計画は……完璧だったはずじゃあ……。 俺は真っ先に疑うべき、二人のもとへ。 「俺の飯、どこやった!?」 「わ、私じゃないよ」 「私でもない」 二人が嘘をついてる……可能性は0だった。 この二人は嘘をつくと必ず目を逸らす。が、今回に限ってそれはない。
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