始まりはいつも突然に

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なんかとんでもない無気力が襲ってきた。もう歩きたくない。 「貴方何俯いてるのよ?」 「ほっといてください」 自宅から離れた辺りで気付いていたなら、ハリウッド映画顔負けのアクションを決めて、逃げていたのに……。 惜しいことをした。 「ほら、引きちぎりなさい。早く」 俺は仕方なーく、力いっぱい両手を引き離した。 ――ガチン 「…………」 うし、もう一回してみよう。 ――ガチン 「…………あの、これおもちゃなんですよね」 普通に無理ですけど。なんか力入れたせいで手首がかなり痛いんですけど。 すると、おもむろに女性は手錠を触り、俺に向かって舌をペロッと出しながら告げた。 「ごめん。本物だったわ」 「…………」 あなたが俺をからかおうとしたなら、それはもう土下座する勢いで褒めてあげよう。 だからもうやめてほしい。俺のライフはもう0だ。 俺は今、それはそれは立派な部屋に、女性……いや、社長様と共に二人っきりでいた。 驚いた事がいくつかある。
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