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確かになんでって言われたら言葉が出にくいが……しいて言えば、いつもそうしてきたから、かね?
そう言おうとして、あっちからそれを遮る一言。
「ん。じゃあ早くしてや」
教室の、透視できたらおそらく俺の席がある方を指差し、目を少し細めながら一言。
「お、おう」
それに逆らう理由はないため、急いでドアを開けて帰る用意をしながら、何となく思う。
なんか変だな、と。
俺の予感はばっちり当たったらしく、歩く帰り道はしっかり太陽に照らされてるのにもかかわらず、俺達の周りは少しどんよりしてる気がした。
できるだけ無口にしている杏奈は、俺が出した話題にも「うん」とか「違う」などの最小限の応答しか答えず、そしてそこから黙りっきり。
それじゃあ仕方ない、と俺も黙りっきり。
余りに暇なので、周りの風景を見ながら、朝とは違う所を探してみたりする。
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