ギャップ

79/84
前へ
/339ページ
次へ
そうしていても、目線が行くのは、少し俺よりも前に出て歩いている、幼なじみの揺れている後ろ髪。 ……久しぶりだな~。そう思う。 小学校のときはほぼ毎日、中学校のときは部活がない日はほとんど、一緒に帰ってきていた。 そりゃあ誰でも機嫌の悪い日も確かにある。特に俺らは思春期真っ只中、余計にな。 けど、こいつの中学時代は全く機嫌の悪い日がなかったのだ。一緒に帰る日がおもいっきり少なくなったのもあるかも知れんが。 えーっと……そうだそうだ。小学校5年あの日以来。 記憶力に自信がない俺が、小学校での記憶がうっすらとしかない俺が、あの日は給食のおかずさえも覚えている。 ……記憶は不思議で、脳はもっと不思議だな…… と、何故かアンビリーバボーみたいな事を考えてると―― 「……圭一」 ひとまずの目的地である駅の前で、微かに、俺を呼ぶ声がが届いた。
/339ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5341人が本棚に入れています
本棚に追加