5341人が本棚に入れています
本棚に追加
そうしていても、目線が行くのは、少し俺よりも前に出て歩いている、幼なじみの揺れている後ろ髪。
……久しぶりだな~。そう思う。
小学校のときはほぼ毎日、中学校のときは部活がない日はほとんど、一緒に帰ってきていた。
そりゃあ誰でも機嫌の悪い日も確かにある。特に俺らは思春期真っ只中、余計にな。
けど、こいつの中学時代は全く機嫌の悪い日がなかったのだ。一緒に帰る日がおもいっきり少なくなったのもあるかも知れんが。
えーっと……そうだそうだ。小学校5年あの日以来。
記憶力に自信がない俺が、小学校での記憶がうっすらとしかない俺が、あの日は給食のおかずさえも覚えている。
……記憶は不思議で、脳はもっと不思議だな……
と、何故かアンビリーバボーみたいな事を考えてると――
「……圭一」
ひとまずの目的地である駅の前で、微かに、俺を呼ぶ声がが届いた。
最初のコメントを投稿しよう!