5341人が本棚に入れています
本棚に追加
幼なじみのその瞳はは真っ直ぐ、俺の目を射抜いている。
「なんだ?」
かなり早いペースで歩いてきたため、生徒の数はまだ少ない。
が、その少なく生徒達は、軽い興味でこっちにさりげなく視線を向けている気がする。
杏奈もそれを、少し感じたらしく、
「後で、話があるし」
と言って、地元の駅と比べると立派とはいえない駅に、そそくさと入っていく。
……なんとなく、最近シリアスっぽい話を聞く事が多いな。
そんなに俺はどっかの主人公みたいに、ずばずばと物事を解決できないんだが……。
「……はぁ」
もはや一種の癖になっているため息をして、定期を用意しながら幼なじみを追いかける。
慣れ親しんだ立派な駅から家に向かって歩き始めてから数秒、俺は杏奈に話しかける。
「話って、なんだ?」
「…………」
杏奈が黙り込む。……ちょいと珍しいな。
最初のコメントを投稿しよう!