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「…………」
「…………」
少しの間、ちょっと前にあったような沈黙が流れる。
しかし、さっきみたいに目線をキョロキョロさせる事はない。そんな事を生まれてからずっといるこの町でやっても、全然面白くないからな。
ということで、何をしようかと考え始めたとき――
「……っ」
杏奈が俺の前に回り込み、何かを決意した目で俺を見る。
そして、
「…………私、好きな人ができてん!」
「………………は?」
そんな、素っ頓狂な声をあげる俺。そして、その先に続く言葉は出せない。
何も考えられないのだ。それじゃあ答えられるわけがない。
俺は、とにかく驚き、驚き、驚き……声も出せずに目も開きっぱなしで。
「……っ……」
幼なじみの、その頬は、僅かに赤くなってて、
「……そう……か」
それを見て俺は、僅かに声を絞り出す。
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