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はっきり言うと、ここで杏奈が好きな人をカミングアウトするなんて、夢にも思っていなかった。
予想していた話は、アイドル関連。
金曜日の生放送を見て、幼なじみがそれを秘密にしたことを怒っていた。
それならつじつまが合う。と、電車の中で考えて、半ば確定気分で待っていたのだ。
……それで、これだ。
つ、か。何故俺にそれを言う必要がある。
「だから、これからは……一緒に、行かれへんから」
これか。
「あ、ああ。勘違いされるからか」
「……うん」
ドッキリという線は……ありえない、か。さっきは白かったあの頬が赤くなってる事を、どう説明する。
これが演技だったら、RAINに推薦する勢いである。
「……じゃ、じゃあね」
それで言いたいことを言えたのか、幼なじみは中々の速さで走り、帰っていく。
「…………」
……周りには何一つ、声がせず、
俺はしばらく、その無音に同化していた。
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