始まりはいつも突然に

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まず一つ、この人が社長だということ。 ビルに入った瞬間、もんのすっごい広いロビーのあちこちから「こんにちは!! 社長!」の大合唱。本人はいたって普通に「こんにちは」と返したところを見ると、相当な大物らしい。 二つ目、ここは真っ当な会社であること。 てっきり俺は地下21階辺りにまで連れていかれて、人知れず殺され切断され、排水管にでも捨てられると思った。(基本、俺はネガティブ) だが、会社の様子からみて、そんなダークかつデスの匂いはしない。そんな匂いは嗅いだ事はないが。 最後に三つ目、ここが『RAIN』という、アイドルグループを多数輩出してる会社だということ。 ロビーの周りにはそういう男女構わずアイドル達のポスターがところせましに張られていた。揚げ句の果てには、エレベーターでブラウン管の中でしか見てない奴と会い、社長と軽く挨拶して別の階で降りていていったときた。そりゃあ、ここがそうであるとしか思えない。 そして結論。 俺はここにいるべき人間ではない。というか、いたくない。
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