始まりはいつも突然に

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「あら、貴方が出して来たんでしょ、これ」 そう言って、社長は一枚の紙を机から取り出し、俺に向け、そのまま停止。 少し疑問を抱えながら、仕方なく受け取り、 「…………は?」 素っ頓狂な声をあげる。 その紙には俺の証明写真(バイトのために撮った)が貼られていて、その上には『RAINの新グループメンバー希望』と書いている。 「…………」 多分俺はこのとき、限りなく目を細めて見ていたと思う。 と、とにかく弁解しなければ。 「いや、俺こんなの書いてません」 困った言う俺に対して、社長も困った顔を返してきた。 いやいや、俺のほうが絶対困ってるから。今の俺、痴漢冤罪で訴えられて、それでも僕はやってないて言いたいくらい困ってるから。 「その様子だと……そのようね。でも、送られて来たんだし」 俺は持っている紙をもう一回見返す事にする。 その紙の保護者欄というところには『したらきょうか』と丸文字で書いてある。 ……うん。まごうことなき、俺の母親の名前、母親の文字だ。それはあっている。 「保護者の文字がおかしいから、確かにあやしいとは思ったんだけど」 「いえ、保護者はあってます」
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