始まりはいつも突然に

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多分、姉のあの馬鹿さは母を中心に受け継いでしまったからだろう。そして、父の賢い部分が弱まった。 おそらく俺はその逆で、父を中心に受け継いだ。 ……心から思う。本当によかったと。 と、俺は気付いた。紙の住所は難しい所はひらがなな事に。俺の名前は『設楽けい一』な事に。 …………それが、姉の仕業だと、なんとなく確信。 少し日本語がおかしい気がするが、まあ気にするな。 「あの、この紙。いつぐらいに届けられたんっすか?」 「確か……三月入ったばかりによ」 ちょうどそのくらいに姉は帰ってきていた。うん、多分あいつらだろう。 これは俺をはめた、壮大な悪戯に違いない。(本人達にその気はないだろうが) 「すみません、これ多分俺の家族がやった悪戯だと思います。本当に家族がご迷惑おかけして、すみませんでした」 俺は頭を下げる事にした。なんで俺が、という気持ちを少し抱えながら。
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