始まりはいつも突然に

33/70

5341人が本棚に入れています
本棚に追加
/339ページ
「あ、 相島、真澄ですけど……」 「いや、名前じゃなくてだな……悪い。言い方が悪かった。えーっとな……」 ボキャブラリ少ないな、俺。 「あ~……お前って何者?」 もっと上手く言えた気もしないでもないが、まあいいだろ。俺の小さい脳ではこれが限界だ。 質問の意味を理解してくれたのか、少女ははにかみながら、 「スパイなんです!」 「…………そんなわけねーだろ」 軽く迷ったが、ボケという判断を下して軽く頭を叩く。と、 「エヘヘ~。 ツッコミ貰いました~」 何故か幸せそうな笑顔を浮かべる女子――まあ今度から相島と呼ばせてもらおう――を見て、俺は軽く頬が引き攣るのを感じる。軽くひいた。 「そういうボケはいいから。だから俺が聞いてるのは――」 「私、彼女はいません!」 「そんなことは誰も聞いてないし、お前女子だろ。……そうか、まあ俺は否定しないよ、世の中にはいろんな人がいるもんな」 「違います! ボケですから、そんな素の反応しないでください!」 「……自分に嘘をつきなって。素直が一番だぞ」
/339ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5341人が本棚に入れています
本棚に追加