プロローグ

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「最後は、期待の新人、宇佐美圭君です!」 いやいや、なんで俺だけそんな無駄なあおりを入れるんだよ司会さんよ。 なんてツッコミを入れる間もなく、その女性の声にあわせて、自分の心臓がリズミカルに鳴り始める。 右手と右足を同時に振らないように、気をつけながら俺は歩く。 カメラフラッシュの数は、 ぶっちゃけ少なかった。申し訳程度に数えるぐらいのフラッシュが叩かれた感じである。 それにつられる形でフラッシュの数は先ほどの二人と同じぐらいに増大していったが、まあそれは記者の同情のフラッシュだろう。 ……そりゃそうだ。女子から告白された事はないので、カッコよくはないのだろう。 ワックスをつけたのだって四ヶ月前……。冬休み明けからなわけで、いまだに納得した感じで髪型はセットできた事はない。 まあそんな、ありふれた男子高校生って感じなのだ、俺は。 マスコミの皆さんよ、そのポカーンとした顔はやめてくれよ。確かさっき出た二人とは顔が月と……家ぐらいの差だが。 俺は用意してあるパイプいすに座りながら、そう思うのだった。
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