始まりはいつも突然に

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…………やばい。 「わかった! わかったから早くどけ!」 「ふん、そう言って油断した隙に逃げるつもりかもしれんけど、そうはいかへんよ!」 「そんなことしねぇよ!」 つーかやばい。ばやい、ばやい? バーイ! ……いかん。パニックだ。落ち着こう。 ……さて、 とにかく、このままだったらこの惨事は同学年の女子全員に伝わってしまうだろう。噂は光ぐらいに早いからな。 そうなったら俺を好きになってくれるであろう予定の女子達は、杏奈を俺の彼女と勘違いしてしまい、告白を思い留まってしまう。 すると、ピンク色の甘~い一時がなくなってしまう。つまりのところ、高校生活の破滅だ。 「む~。とれへん~」 早く財布を取らせようと俺は、自ら鞄を離そうとするが、俺の手を杏奈の手に絡まり、さらに卑猥な格好になる。 ………………ダメだ。もうダメだ。 俺の高校生活が、泥色に染まっていく……。
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