始まりはいつも突然に

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「つまり、この人をあなたから離せと?」 「そういうことだ!」 物分かりが早くて助かる。 すると、KYの女神は大きく頷いた後、のしかかっている赤ちゃんを抱くときのように、幼なじみの脇を持って引き離してくれた。 「ななな、なんよ!」 突然正体不明の奴に引っ張られた幼なじみはうろたえてるが、それを大人しく見てる暇はない。 俺は久しぶりに自由になった体を無理に立たせると、鞄の中から財布を取り出し、 「ほら、財布。そっから二千円取っとけ」 下手投げで投げた財布をキャッチした杏奈は、ウキウキとした感じで開く。金の亡者め。 まあ、そんな事はどうでもいい。俺にはいち早くしなければならない事がある。 俺はロングをポニーテールにしている女神――なんか今更だが女神って恥ずいな――に向かって言う。 「ありがとうございました!」
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