始まりはいつも突然に

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幼なじみと二人っきり……。出来れば夕日に照らされた放課後で体験してみたいシチュエーションである。 まあ、そうなれば告白ってのがこの平成の定めなのだが、俺達だと1000回やって1000回とも、告白の振りをした冗談で終わると断言出来る。 うつむいた幼なじみの顔を見ながら、久しぶりだな、と俺は思った。 杏奈はそれこそ中学時代、絵に書いたような学園のアイドルだった。 いやそれは言い過ぎか。まあモテモテだったのは確かだ。 軽く茶に染めた髪は肩にかかるくらいで切り揃えられており、客観的に見て絶世の美少女。 どんな奴にも同じ態度で仲良くなれる性格だし、頭もそれほど悪くない。そうなったら告白されないわけがない。 俺が知ってる限りでは、6人……まあそれ以上だろう、告白されている。 が、何故か付き合わない。 そのたびに俺はフラれた知り合いに言われるのだ。 「あいつ、お前が好きなんじゃねーの?」
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