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いつもは笑って受け流していた。
が……
その言葉を四人目に聞いたときにいつも通りに受け流し、
そしてケンカ。絶交。
さすがにこのままではいけない気がして、部活帰りにたまたま一緒になった帰り道で、
「お前ってさ、俺の事好きなのか?」
……今思い出すと、切腹を通り越して首を切りたくなるほどのKY発言だ。
しかし、一回キョトンとした幼なじみは、急におもいっきり笑い出した。台無しである。
「な、なんだよ」
そんな抗議などなかったかのように、しばらく笑う。
「確かに圭一は好きやけど、それは友達としてやで。異性としては、あんまり見てへんって」
穏やかな目で、俺の目を真っ直ぐ見つめながら、そう告げてきたのだ。
その綺麗な顔を見て、なんでか恐怖が訪れ、
「……そうかい。じゃあ、よろしくな。親友」
顔を逸らしながらその言葉を絞り出した後、親友の笑い声が耳に届く。しかし、その恐怖は消えずに――
「圭一。あんたどうしたん? ボーっとして」
結局、なんで俺は怖くなったんだろう。まだ、全然わかってない。
「……いや、なんも。お前がそんなミスをするのは珍しいな、と思っただけだよ」
「…………――――――――」
ガラガラ、とドアの開く音がする。
そのせいで安奈の声聞こえなかったが、まあどうせたいしたことじゃないだろう。
教室を見渡すといつの間にか5人ぐらい入ってきてて、そろそろ登校ラッシュがきそうな雰囲気だった。
俺は杏奈から離れて自分の席に着く。
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