始まりはいつも突然に

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いや、そのあるカードってのは、今の俺の状況の全てを理解出来るカードで。 まあ、そこまでいうとわかるだろう。 つまり、今こんなヘンテコな変装をしてる理由……。 俺が実はアイドル――って事がそのカードを見るとわかってしまうという、まことにやばいカードなのである。 「まあここにいても仕方ないか……。とりあえず帰ろう」 杏奈の『やっぱりこいつおかしい』って視線に気付かない振りをしながら、俺は鞄を背負って廊下に出た。 「なあ。やっぱりあの財布になんか入ってたんやろ~? 教えてーな」 「別になーんもないって」 幼なじみの追求をごまかしながら、揺られている電車の中。 そういえば、朝も似たような状況だったような……。 まあ朝とは俺の気持ちに違いがありすぎる。ネガティブ度が20倍ぐらい増しているからな。
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