始まりはいつも突然に

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「いや、大丈夫」 「けど、その財布になんか大切なもん入ってたんちゃうん?」 「最近カードにポイント集める事が趣味だったからな。……二月からの努力が無駄になってしまった事にな」 「ポイント集め? ……地味な趣味やな~」 「ほっとけ」 別にこいつなら俺がアイドルになったって話を告げても、誰にも言わないだろうし、俺と二人のときにその事を軽くからかう程度だろう。 というか、話す事によって、何か大変なときに力になってくれるかもしれない。 まあ……今はいいや。 そんなに難しく考えることじゃない。 こいつなら俺がテレビの中にいるって真っ先に気付くだろう。幼なじみ歴11年間伊達じゃない。 それがわからなくとも、いつかばれるだろう。 じゃあ……そのときまで待っとけばいい。親友とはいえ、隠すもんは隠すさ。 太陽が1番高い位置にあるとき、俺達は電車を降りた。
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