始まりはいつも突然に

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なるほど。確かに成長したようだ。俺の反射神経を超える速度でチラシを破くなんて……。 いやいや、そうじゃない。 「二桁の暗算ができないとは……」 さすが姉貴。並大抵の奴じゃ太刀打ちできないな(バカ的な意味合いで) そっぽを向いてテレビのニュースを見る姉にを、さらにからかう事にする。 「じゃあ、得意な科目はなんだったっけ」 「国語だ、しかも漢字は大得意だ」 自信満々に胸を張る姉。その自信はどこから来るのだろう。ついでにその豊満な胸もどこから来たのだろう。母はたいして大きくない気がコホンコホン。 ともあれ、俺は問題を出すためにチラシと置いてあった新聞に手を伸ばす。 「……じゃあ、この漢字は?」 そう言って俺は『首都圏』という言葉を指す。 「……しゅと、……えっと…………、まき?」 首都にそんな名物みたいな手巻き寿司はない気がするんだが……。 もしかして、こそーっと作られていたりするのだろうか? ちょっと食べてみたい気もする。 「……私にだって、そりゃあ一つぐらいわからない漢字もあるさ」 思わず笑みを浮かべていた俺の顔を見て答えの間違いを気付いたのか、僅かにへこんだ顔で姉が言う。 「一つねぇ。じゃあ…………これは?」
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