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そこはほとんど誰も通らないので(まあ屋上に行けないわけだからな)まさに告白のスポットとして申し分ない。
まあ、埃っぽい所でロマンチックさはかけらもないのだが、そこは置いとこう。
俺は今、四階の一段目に足をかける。
いつかと同じく右手と右足が同時に出ないように、
ゆっくりと、ゆっくりと、
そして階段を上りきって――
「……………………」
俺はあることに気付いたのだ。
「………………やっぱり、イタズラかぁぁぁ~」
多少苦笑気味に、そして自分が期待していたためだろう、独り言をちょいと大きめにして声を張り上げる。
いなかったのだ。
つまり、いたずらだったのだ。
「はぁぁぁ~~~」
大きく溜め息をついて、開かないドアに寄り掛かって、ズボンが汚れるのにも構わずに座り込む。
まったくもって、悪趣味なイタズラだ。
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