ナルコレプシー

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ナルコレプシー

  小学五年生の時に、生まれて初めての自殺をした。 動脈を切れば死ねると思って、カッターで手首を切った。 噴き出した血で部屋中真っ赤になったのだけれど、私はただ、貧血で倒れただけだった。 中学二年生の時には、首を吊ってみた。 首を括っていたロープが千切れ、気が付いた時には、首輪のような真っ赤な縄目のついた姿で私はぶっ倒れていた。 高校一年生の時は、睡眠薬を山ほど飲んだ。 意識が遠くなった。 ぼんやりした意識の中で、「ああ、今度こそ死ねるな」と思ったのだ。 ―――翌日、冷えきった自分の吐瀉物の中で目を覚ますまでは。 来週、私は四度目の自殺をする。 そしてこれは、私の最後の自殺になるだろう。  
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