高橋春紀

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   * 「えーっと… 君が『日和』ちゃん?」 『自殺サークル』オフ会当日。 待ち合わせ場所であるカフェの一席に、長身痩躯の男が現れた。 オシャレのつもりなのか、後ろで一くくりにした長めの茶髪。 なんか全体的に黒っぽい服。 そして、ごちゃごちゃと重ね付けしまくったシルバーアクセの数々。 この男を一言で表現するならば、『ヴィジュアル系を意識しすぎてどこか間違っちゃってる感たっぷり』という印象だった。 この世には、『視界の暴力』という言葉があることを、是非ともこの人に教えてさしあげたい。 黒のシフォンチュニックにタイトなデニムという、いわゆるフェミニンファッションの私とは、かなり相性が悪そうだった。 …それはともかく。 うげっとなっている表情を戻し、私は首を振って見せた。 「『ヒロ』さんですよね? 私は―――」 自己紹介をしようとした私を、黒ずくめシルバー男はスッと片手で制した。 そして、もう片方の手を額に添えて、苦しそうに眉をしかめている。 芝居がかった仕種で悩める姿を演出しつつ、男が一言。 「あー、待って待って。 君が誰なのかピタリと当ててみせるから、まだ言わないで」 「えええ…!? い、いいですけど…」  
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