『キス魔な彼女』

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「それじゃあ少しの間待ってて下さいね。美味しいご飯を作りますから」  包丁とまな板の素晴らしいデュエットが心地良い。この音を朝目覚めてから聞いたら堪らないだろうな。  彼女のエプロン姿はもう絵画だ。そしてその後ろ姿も堪らない。特にミニスカートとのコラボが。  自然にニヤけてしまい、失敗した。彼女にこの間抜けな顔を見られたのだ。 「ふふっ、十夜の顔、間抜けさんです。可愛いです」  頭の中はもう工事だ。シャベルで穴掘って、掘って、掘って。  そこに叫ぶ。もうすんごく恥ずかしくて。  気を取り直そう。意識しないようにテレビに集中。  刑事と犯人らしき人物が怖い顔で睨み合い、銃を……と思ったら手にあったのはバナナだ、二人共。ああ、お笑い番組だったわけだ。 「出来ましたよ。テーブル片付けて下さいね」 「了解です」
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