‡第一章‡

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俺の名前は橘 秋人。 現在21歳で念願のM大学に合格してから3年が経った。 ――ジリジリジリ! 目覚ましのけたたましい音にゆっくりとベッドから身体を起こすと、鳴り続ける目覚ましを緩慢な動きで止める。 低血圧のため朝からぼうっとする頭で昨日見た夢を思い出した。 ―――今日もあいつの夢か……。 思考がクリアになってくるとベッドから降りて洗面所に向う。 鏡に写るのはいつもと変わらない俺。 その顔が不意に消えてあいつの顔に変わる。 「……重症だな」 乾いた笑いを洩らして俺は蛇口から冷たい水を出し、顔を洗う。 髪まで濡れるほど顔を洗うと身支度を整えて家を出た。 大学に通うことになってから1人暮らしをすることになった俺が今住んでいる場所は木造のアパート。 お世辞にも広いとは言えないが、大学から通いやすいし特に文句はない。 ―――秋人んとこは大学からも近いし、行きやすいな そういってよくあいつが遊びに来るのも嬉しかった。
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