‡第一章‡

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あれはあいつがサークルの帰りに酒を飲んで酔っ払い、家に帰るのが難しくなって俺の家に来た時だった。 俺と直哉のサークルは一緒じゃない。 俺はバスケサークルで直哉はテニスサークルだ。 直哉のとこのサークルは一応テニスもするが本命はその後に皆で飲む酒だ。 直哉はアルコールには強いから珍しいなと思いながら急にやってきたあいつを俺は快く家の中に上げた。 『あ~……楽しかった…』 『そのまま寝る前に風呂入れよ。酒臭い』 俺のベッドに倒れこむ直哉を無理やり起こすと脱衣所に放り込む。 30分後、まだ酔いが抜けていない身体をフラフラさせながら風呂から上がってきた直哉に俺の部屋着を渡すと、直哉と入れ違いに風呂に入る。 それからしばらくして風呂から上がると直哉は髪も乾かさずにベッドで寝ていた。 『俺の寝床とるなよな……』 ベッドから引き摺り下ろそうと直哉の肩に触れたとき、驚いた。 テニスをやっているから引き締まった硬い筋肉をしているだろうと思ったが想いのほか柔らかかったのだ。 ―――ッ……何考えてるんだ………。 自分の考えがセクハラみたいだと気付くとそれを振り払うように相手の肩から手を離す。 とりあえず起こそうと相手の頬をペシペシと叩くと僅かに直哉の目が開いた。 酔いのおかげが潤んだ瞳が俺を見つめる。 その瞬間、俺の胸がざわめいた。 すぐに眼を閉じて寝息を立て始める直哉に安堵の溜息を吐くと、俺はあいつからゆっくりと眼を逸らした。 『なんなんだよ………』 自分の感情がよくわからず、とりあえず直哉をベッドから下ろすのを諦め、俺はカーペットの引かれた床の上で寝た。 なかなか寝付けない俺の部屋には気持ちよさそうに寝る直哉の寝息だけが響いていた。
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