第二話 妄想と家族

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僕は怒りながらもご飯を平らげ流しに置き二階の自分の部屋へと上がっていく。 「ねぇ?優君?」 「何?」 里子が満面の笑みで話しかけてきた。 「さっきの暗号だけどもしかしたらアレなんじゃないかな。その何だっけ?アドバイス?」 「は?誰に助言を求めんの?」 「そうじゃなくてそのアレなんだっけ。パソコンに入れる奴!」 …………。 「もしかしてアドレスのこと?」 「そうそれ!!さっきから言ってるじゃん!!」 姉よ。お前はさっきアドバイスと言ったぞ。 むしろその会話で答えを導き出した俺を褒めちぎれ! そしてなぜキレている? 「んでアドレスがなに?」 「だからぁさっきの暗号ってなんか斜め線とかあってその アドレナリンって言うに似てない?」 姉よ。アドレナリンは神経節や脳神経系に作用する神経伝達物質だ。 お前がもしアドレナリンの構造を理解していてその構造記号とかと似ているというのであればそれは俺が謝ろう。 ああ、謝ろう。
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