第一話 大きな大きな黄色い看板

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……双眼鏡の料金分100円のタイムリミットが終わっただけであった。 僕はため息をつきもう一度100円を投入回数を感じられるほど擦り切れた投入口に入れる。 どうでもいい話だがこの双眼鏡でお金をとることは一体誰が始めたんだろう。 昔どこかでいった展望台で一回30分500円という双眼鏡があった。 ……そんなに見ねぇよ。 何をどう考えてこの双眼鏡の値段と時間は決定しているのだろうと思ってしまう。 僕は再び双眼鏡を覗いた。 黄色い看板の文字にはこう書かれていた。 「あなたの…妄…想…を…現実に…します」 僕は眼を疑った。 そんなこと普通に書かれていたら何を馬鹿なとかくらだらない詐欺だとか思ってしまうだろうがこれはいわばどんどんおっきくなるという不思議看板。 そこにこんなことが書いてあった日には興奮をしてしまうではないですか。 僕は眼を見開きもう一度その文字を見た。 そしてその文字の下に何か書かれているように見えた。 あなたの妄想現実にします etp/eee/god/moso/ 文と不可解な英数字の羅列。 ノートを使うわけには行かないため僕はその内容を手に鞄に入っていた油性ペンで書き記しはじめた。
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