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「私」
いつのまにか、私は泣いていた。
「泣くほどのことじゃない?」
そう言いながら私の頬に触れてきた。
「男は彼だけじゃないのよ?いくらでもいるじゃない!どうしてそこまで彼にこだわるの?そんなに彼に惚れてるの?」
私は黙ったままだった。
「‥何やってんだ?」
声のほうに視線を向けると、そこには大樹がいた。
「だい‥」
「なんでもないのよ?気にしないで」
そう言いながら、琉伎奈は大樹の元へ駆け寄っていた。
「‥」
「それじゃあ、私はこれで」
琉伎奈はその場から立ち去っていった。私は見送った。そしてなぜか沈黙が。
「ずっと校門で待ってたのに」
「‥え?なんで?」
大樹は腕組みしながら
「お前を待ってたんだよ。一緒に帰ろうと思って」
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