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しばらくの間、姉貴を抱きしめていた このまま、時が止まればいいと思った 姉貴はだんだん落ち着いてきて、俺の腕の中から離れた 「渉…ごめんね」 照れたように少し微笑んだ 「渉も大人になったんだなぁ、、、 昔は私にくっついて、甘えてばっかだったのに」 「なんだよ、それ」 急にお姉さんぶる 姉弟という間柄がもどかしい これ以上踏み込めない領域 「なんか小さい頃思い出しちゃった(苦笑) お父さんとお母さんがケンカしてるとき、私が部屋で泣いてると“おねーちゃん泣かないで”って渉がぎゅって抱きついてきてさ~」 懐かしそうに微笑む やっぱり俺は弟 抱きしめて胸が高鳴るのは俺だけ…… 「果歩はホント泣き虫だったからな~」 わざと名前で呼んだ 姉弟という関係への小さな抵抗 「お姉ちゃんって呼べって言ってるでしょっ!!もう!!」 怒る元気が出たみたいだ 「なんなら朝まで抱きしめてやろうか?」 半分冗談で、半分本気
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