悪魔の闘争―invader―

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「少しは都市、そして俺の為に働け!!」  俺の野望を邪魔されるわけにはいかない。 「あら、領地を侵略してわらわの支配する世界をつくるのがあなた達『夕暮れの侵略者』ではないの?」  アリスは傍目には可愛らしく首をひねった。 「違う!! 古きを破壊し、再生の土台をつくるのが俺達だッ!!」  俺は頭を抱える。これでは暇つぶしに使われてるだけではないか。 「まったく、ミール村襲撃の疑いもまだ晴れてないというのに」  内外共に問題は山積みだ。  人間の居住区、都市の数は13だ。しかし、都市同士の中継点、研究施設などの集落も幾つか存在する。  7年前に第7都市近郊の村が襲撃される事件があった。  狙われたのは各都市が厳重に管理する“遺産”の一つ。  生き残りの少年の話によればアリスに似た者を目撃したらしい。  その村の惨状はまさに破壊の名に相応しいものだった。防御結界をも貫いて全域を崩壊していた。 「だから、わらわはやってないわよ。そりゃあ“彼”のものなら全部欲しいけどね」  キャーと黄色い声を出して悶えるアリス。  そんな時、傍らの電話が鳴った。アンティークの豪奢な電話である。  俺が受話器を掴むと焦った声が聞こえた。  北の峡谷を守るクレトス砦の守備隊長の声だ。 「ハルク様、緊急です。ベリアルの参戦により砦の守備兵の半分が壊滅、救援をお願いします!!」 「わかった、俺が行く」  二つ返事で答えると守備隊長は狼狽する。 『司令官自らがですか!?』 「ああ、指示を出すやつが一番働かなくてどうするよ」  高い地位に満足して怠ける奴などいくらでもいる。しかし、それでは部下の信頼は得られない。  誰よりも努力し、この地位に就いたからこそ俺は知っている。 「臆病風に吹かれた奴らの士気を高め、頭を仕留められるのは俺だけだ。文句はないな」  『はい!!』と守備隊長は返事をし電話を切る。
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