14人が本棚に入れています
本棚に追加
2
俺が深い峡谷に造られたクレトス砦にたどり着いた時、砦は静まりかえっていた。
陥落したわけではないが誰もが傷つき、疲れ、士気はほぼゼロに等しい。
しかし、俺の姿を見て再び立ち上がろうとする奴らも多かった。
総司令官であるこの俺の参戦は精神的な柱になりえるらしい。
もちろん期待を裏切るつもりはない。この俺についてくれば間違いないということを示してやろう。
半壊した窓から外を見下ろすと黒一色の集団が見えた。
魔精どもは予想以上に多く軍団と称しても遜色ない規模だ。
砦の外に陣取っているのは一般にイメージする悪魔の姿の他にも様々な生物を混ぜた異形の魔獣が蠢いている。悪夢が具現化したかのような不気味な光景。
しかし、俺に怖れを抱かせるにはまだまだ足りない。
最初のコメントを投稿しよう!