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エディスは手持ちのバスケットからレジャーシートを取り出し、木陰の涼しい位置にそれを固定した。
そして次に取り出したのは色鮮やかなサンドイッチにバニラやココア味のクッキーなど、どれも美味しそうなものばかり。
全てはエディスの手作りである。
エディスは大きなとりえも無く、特に人に自慢できるような特技も持ち合わせていないと思っているが、料理に裁縫、この二つに関しては、同年代の女の子に決して負けない実力を持っていることを、妹たちは知っていた。
「まったくもう、姉さんは細かいことを気にしすぎるのが玉に瑕よね。
あなたもそう思うでしょ、アリス?」
木を背にし、スカートであるにも関わらず何も気にした様子はなく、両足を開脚しそれぞれをつま先まで思い切り伸ばしているロリーナ。
普段ならば姉のエディスに、
「はしたないから女の子がそんなに足を広げるものではありません」
と注意されるところだが、その姉は作業に没頭していて妹のその姿に気づく様子はない。
アリスはというと、その両足の間にちょうど収まる形で、背後からロリーナに抱きしめられながら座っていた。
ロリーナはちょうどあご下の高さにあるアリスの頭の上にぽすっと自分の頭を乗せ、なおもリラックスできる体勢を模索していた。
アリスのほうはというとそれを嫌がる様子はなく、胸のぬいぐるみをきゅっと両腕で抱きしめながら、その頭に姉のロリーナと同じように顔を埋めて大人しくしていた。
その姿はこの昼下がりの風景に、どこか微笑ましく感じさせられる。
次女のロリーナは肩より少し長めの黒髪を左右で二つに結っていて、動くたびにピコピコ跳ねるその姿は、見る人に快活な少女のイメージを与える。
年の頃はわずか十六歳だが、彼女はとある有名大学の学生で、すでに院生も確実と言われているような才女だ。
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