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「彼は、鳴海アマネ。君のクラスメイトだ」
担任が黒沼にそう言うのをアマネは、黙って聞いていた。
(俺のクラスに来るのか…それにしても……)
そう思いながら再度、転校生を見た……暖かい時期にも関わらず、黒いコート姿、癖が目立つ黒髪に左目を隠す医療用の眼帯……顔立ちは、整っているのに何故か異様な雰囲気がする。
「あの…」
「あ、何だ?」
そんな事を考えていたからか、黒沼が少し困惑気味な表情を浮かべながらアマネに声を掛けてきた。
「コレは、ワケありなんです、気にしないで下さい」
眼帯を押さえながら黒沼は、そう言った……隣で担任が軽く咳払いをしながらアマネを睨む。
「あ……ゴメン」
「兎も角、クラスメイトになるんだからな……色々と教えてやれ」
「分かりました、兄貴」
軽い調子でアマネがいうと、担任教師は脇に抱えていた出席簿でアマネの頭を軽く叩いた。
「学校では、〝鳴海先生〟だろ!アマネ」
兄でもある担任教師は、弟に笑みを向けながら言った。
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