第二話

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  途端に静まりかえる教室内。 誰がどうやったって、怒鳴ればこうなるだろう。 緊張した顔付きで戸口を見遣る、数十人の生徒たち。 だが、誰が来たのかとわかったら、たちまち笑顔になった。 「なんだ。落ちこぼれーズか」 と皆して心の中、あるいは実際につぶやく。 中等学園の時に同じクラスでなかったやつらも、二人の落ちこぼれぶりは耳にしていた。 なんでも、初歩の初歩の魔法すら、いまだに扱えないらしい。 随分な落ちこぼれぶりであった。 「ひゅーひゅー! 落ちこぼれカップルは傷をなめあいながらの御登校ですかー?」 たいがいの生徒たちは、傍らの知り合いと嘲りながら見てるだけ。 しかし、ランド・ロ・スターマンその人だけは違った。 「あン?」 シャリアは机の上に立ち、自分を見下ろしている男を睨んだ。 彼は自信の金髪を「ふぁさぁっ」という自分の口からの効果音とともに撫でる。 リオンは見て、ア然とした。 なんだ、あの変態は。 同じクラスになったことなどなかった。
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