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「だからそれがなんなんだよ! 理由を言わなくちゃ、俺は動かないからな」
リオンもこうなれば意地だった。
そもそも、こいつが味方であるという確証はまったくない。
変なところに連れ込んで暗殺、ということも考えられなくはない。
「……エーシェ様が」
「エーシェ?」
一度、アクトゥスは息を吸い込む。
それから意を決したように、一気にまくし立てた。
「ゼロの魔術師の三人組が今、アークスに入ってきたという連絡を受けたわ。そして、エーシェ様が『騎士団』とともに、撃墜に向かったの」
リオンはごくりと息を飲む。
こいつの話ぶり、慌てぶりから判断するに、
「エーシェは? 勝ったんだよな?」
まさか?
……まさか。
アクトゥスは一度俯く。
顔をあげたときの表情は、逆上したそれだった。
「だから、早くしろっつってんでしょーが! こんなチンケな大会より、エーシェ様の方が百倍大事でしょ!」
チンケ……
アスカはア然とする。
だが、リオンは頷いた。
「エーシェはどうなった? 早く、助けに!」
「戦いは終わったわ。エーシェ様は今、病院。直ぐさま向かうわよ」
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