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「やあ、落ちこぼれ諸君。ご機嫌よう。まさか君達がここに入学出来るとは思いもしなかったよ」
俺もだよ、とは答えずに、リオンはじーっと睨み続けた。
なんだろうこいつは。
あれか、上級階級の貴族の息子とかいうパターンか。
中等学園でも腐る程いた。
「自己紹介が遅れたね。僕はランド・ロ・スターマン。貴族のスターマンだ」
やはり。
リオンは吐き気を我慢するような顔をした。
ランドは二人がぐぅの音も出ないと見ると、「しゅたっ」と言って机から降りた。
そして悠々と、近くにいたシャリアに近づくが、刹那。
「……!」
その、性格が悪くなければ美しいと皆から言われるであろう顔が苦悶に歪み、彼は自分の下半身を押さえて悶絶した。
教室内は沈黙に包まれる。
け……蹴りである。
男は全員その蹴られた場所の痛みの堪え難さを知るや、目を逸らす。
「いっとくけどぉ」
男の泣き所を無情にも一撃で粉砕したシャリアは、自身のサングラスを外しながら、つぶやいた。
「私、魔法じゃ落ちこぼれかもしれないけど、体術だったら負ける気はないよ」
男女問わず、そこにいるすべての者が頷いた。
その蹴りの威力たるや、よだれを垂らしながら失神しているランドを見れば、よくわかる。
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