第十六話

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  (助けなんか期待できない、か) 一息いれ、アクトゥスは左手に炎を点した。そして、氷の少女――レノに放つ。 「う、わ!」 予想もしてなかったのか、予想外に驚いたそぶりを見せて、レノが両手で顔を庇う。炎はレノに届く前に、地面から突き出した氷尖によって霧散した。 「そこ!」 そして、彼女は炎が放たれた場所に向けて、冷気を放つ。それに触れたものは空気でさえも、凍結する。しかし、手応えはなかった。 「あり?」 首を捻るが、間髪入れず、背後から射撃。自分の体を炎が貫通した。 「むっ!」 短い憤慨の言葉をつぶやき、背後に向けて再度冷気を放つ。しかし、またしても空を切った。 レノは苛立ちから眉を寄せる。 (むかつく) レノからすれば、魔力も残り少ないアクトゥスは、蝿のようなものだ。大して害はない。が、邪魔。駆除が必要。 「ぜーんぶこおらせるやるッ!」 口にして、刹那のときも待たずして、レノは行動に移した。静謐とした効果音とともに、あたりに冷気が舞う。 「――ッ」 ガシャン、と何かが割れる音が聞こえたのでレノはそちらを振り向き、――笑った。
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