9215人が本棚に入れています
本棚に追加
「みぃーっけ」
顔全体を喜色に彩ったレノの微笑みを向けられ、アクトゥスは苦笑いを浮かべるしかなかった。
ちょこちょこ攻撃していくうちに、でかいのをお見舞いしてやる腹積もりだったが、その前に先手を打たれた。
右足が、凍結を受けた。
「あたしはそんざいのとーけつをつかさどるんだよ。おにごっこはおしまいだね」
アクトゥスが動けないのを見て取るや、レノは余裕の足取りで近づいてきた。
(最後、か)
アクトゥスは嘆息し、
「だあぁぁあぁぁああぁッ!」
吠えた。
その咆哮に追随するかのように、レノの足元が赤く染まる。そして、彼女の体を業火が包み込んだ。
事前に仕込んで置いた罠。完全に、捉えた。直撃である。しかし、アクトゥスは笑うこともできなかった。
「負けました、っと」
「あつっ……」
炎の中からは不愉快そうに額にシワを寄せたレノが出てきた。与えられたダメージは、見るにおそらく微量。
アクトゥス最後のあがきも、不発に終わった。
最初のコメントを投稿しよう!