ゼロの魔術師

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  「リオン。私がわざわざ姿を見せたのは、君もこちら側の人間だと思っていたからなんですよ」 「それは残念だな。理解できない思想を持つ宗教に加盟するつもりはないんだ」 ふぅーと長々しいため息。 次に見せたマッカードの眼は鋭く、眼だけで魔法の一つでも発動できそうだった。 「見逃すつもりは」 「ない」 刹那、マッカードが右腕を一閃、横に振ると、頬を撫でる程であった風が一変、少年を切り裂くように襲い掛かってきた。 少年はそれをよけるでもなく、ただ右腕を前に差し出す。 右腕からは黒く、全てを飲み込むかのような“闇”が現れた。 闇に触れた風は、今まであげていた音とともに、消滅した。 「――ッ」 マッカードは少年の能力など既知のはずなのに、改めて苦々しげに舌打ちした。 「残念だよ、マッカードさん」 マッカードに次の攻撃の準備を与えることもなく、少年は今度は両手をマッカードに向けて差し出す。 両手は瞬く間に壮大な量の闇に飲み込まれ、数十メートルになろうかという巨大な腕になった。 「また一人、大切な仲間を失うなんてね」 マッカードが口を開こうとした瞬間に、ズンッと。 少年は全てを飲み込み、『存在の否定』を行う闇をそのままマッカードにたたき付けた。 マッカードは風の刃同様に飲み込まれ、無と還る。 「ゼロの魔術師……」 少年も気付けないほど遠くから、誰かの声が小さく無に響いた。
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