第一話

3/7
前へ
/288ページ
次へ
  至急戻れということは、所属しているギルドに戻れということなのだろう。 リオンは何度目かわからないため息をついて、移動を始めた。 大陸グランディオ。 千年程前に創始者、ゼロの魔術師の五人によって生み出された地だといわれている。 そこでは三つの国が勢力を競い合っていた。 北のアークス、東のロンドビル、西のトライデントがそれである。 その三つの国の内、北のアークスの上空にて。 一つの黒い物体が、風を切りながら、凄まじい速さで動いていた。 辺りは日が落ち、月明かりに照らされるのみだったので、それに気付く者はない。 その黒い物体はある地点までやってくると、段々と速度を落としていき、ある建物の前に降り立った。 そして人の姿――リオン・レインドの姿に戻る。 辺りを城壁で固めた、さほど大きくもない城。 アークス魔法管理所、通称ギルドであった。
/288ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9215人が本棚に入れています
本棚に追加