第一話

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  そんな城の中に入り、廊下を歩き、一つの部屋の前に立つ。 緊張の一瞬だ。 扉にはきちんと整った字で、『ギルド長室』と書かれていた。 リオンはゴクンと息を飲んで、扉を二度叩く。 程なくして中から「どーぞー」と気の抜けた声が返ってきた。 そしてリオンが扉を開け、中に入ろうと足を踏み出した、その瞬間。 ボゥッと炎が点されたような音がし、顔を上げたその瞬間。 リオンの頭を、炎が貫いていた。 炎はリオンの頭を一直線に通過したが、頭の中で消え、後ろの壁に当たることはない。 その炎を放った人物は、どでかい机に足を投げ出した状態で座り、人差し指をリオンに向けていた。 「ふっはっは、命中~」 短い赤毛を揺らしながら、ケラケラと笑うものである。 リオンは炎にぶち抜かれたが、今は平常通りに戻っている額を撫でながら、部屋の中に入った。 酒臭い。 机の上には空になったビール瓶が何本もぶん投げてあった。
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