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そんな城の中に入り、廊下を歩き、一つの部屋の前に立つ。
緊張の一瞬だ。
扉にはきちんと整った字で、『ギルド長室』と書かれていた。
リオンはゴクンと息を飲んで、扉を二度叩く。
程なくして中から「どーぞー」と気の抜けた声が返ってきた。
そしてリオンが扉を開け、中に入ろうと足を踏み出した、その瞬間。
ボゥッと炎が点されたような音がし、顔を上げたその瞬間。
リオンの頭を、炎が貫いていた。
炎はリオンの頭を一直線に通過したが、頭の中で消え、後ろの壁に当たることはない。
その炎を放った人物は、どでかい机に足を投げ出した状態で座り、人差し指をリオンに向けていた。
「ふっはっは、命中~」
短い赤毛を揺らしながら、ケラケラと笑うものである。
リオンは炎にぶち抜かれたが、今は平常通りに戻っている額を撫でながら、部屋の中に入った。
酒臭い。
机の上には空になったビール瓶が何本もぶん投げてあった。
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